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017:失(理阿弥)








砂漠に 見失はれし音階よ眠らずに待て我ゆくまでを
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鑑賞016「絹」(TB 149まで)

圧倒的っ・・・!
圧倒的豆腐率っ!

七~八首にひとつ、絹ごし豆腐が詠まれていました。


」の秀歌たち。

髭彦
 人絹も近江絹糸も死語なれど日々に新し貧困の二字

砂乃
 絹糸で縫い閉じましょう母さんのお腹に石は残したままで

五十嵐きよみ
 まち針のあふれる色に囲まれて絹針一本りんとして立つ

揚巻
 馴れ合いを冷たく拒む紅絹裏もみうらの奥にあなたの熱帯がある

(敬称略)

016:絹(理阿弥)








剥ぎとれば嬲りてをりぬ、いろの、愛で方知らず他にどんなどんなの

鑑賞015「とりあえず」(TB 159まで)

とりあえず」。
難しかった…撃沈しました(笑)
とりあえず、なんてどうやったらダサくなく詠えるんだーい。

状況(原因)と行動(結果)を結ぶ言葉だから、たんなる種あかしの歌になってしまう…
「それって小理屈じゃん?」と思わせないように詠むにはどうしたらいいのか。
大事なのは道具立て?

さすがに苦労のあとも見えましたが、みなさん上手く一首に取り込んでおられ、
感心することしきり。









なりゆきにまかせてもいいとりあえずふたつだけ買う硬いアボカド
    伊倉ほたる

うまい…
心理と行動がくっつきすぎて無いんですよね。
「なりゆきにまかせてもいい」から「とりあえずうちに誘った」とか
「なりゆきにまかせてもいい」から「とりあえず好きと言ってみた」では
身も蓋もないわけで。
この距離感を適切に保つことが、良い歌への一歩ではないでしょうか。
そして、未熟なアボカドふたつ。行く末の曖昧な関係を匂わせています。
短歌が単なる状況説明にならないための、素晴らしいお手本となる一首。


とりあえず」の秀歌たち。

猫丘ひこ乃
 とりあえず降りた駅ではくちなしの花が駅長 靄芳しき

アンタレス
 求めいし本三册が届きたりとりあえず讀む薄き本から

ほきいぬ
 ちゅうてんのつきはかくれてあおいとりあえずにかえるケルンはふたつ

梅田啓子
 とりあえず褒めておけばと思いしか 舌に残れるチクロの甘き

星川郁乃
 春の声で言いわたされたさよならをとりあえず受け取って 風花

周凍
 あと絶えて照る水もなき山田かなしでの田長よとりあへずなけ

新井蜜
 とりあへず鳴くうぐいすのぎこちなく遠く離れゆく我が幼年期

紗都子
 とりあえず切符を買えばふるふると耳をくすぐる業務連絡

矢島かずのり
 ああこれはきっと刺されるだろう、けどとりあえず缶コーヒーを飲む

(敬称略)

015:とりあえず(理阿弥)








とりあえず医師であるため妹は人に頼まれ人の腹割く

鑑賞014「残」(TB 154まで)

好きな歌が多かったお題でした。








ワンサイズ大き目の服(さよなら)は時間が許す限り残り火
  久哲

思いがけず出てきた大きめの服、それによって再び蘇らされる胸の奥の燠火。
心に残り火を絶やさないのは男性っぽいな、とも思いましたが、
上句を見ると女性目線で詠まれた歌なのでしょうね。
繰り返される数限りないさよなら、そしてあのときの一度限りのさよなら。
切ねぇ・・・。いつだって切ないっすよねぇ・・・。

- さよならは時間が許す限り残り火である -  至言です。

久哲さんのお歌を拝読していつも嫉妬に駆られるのは、
理に縛られないその詠みっぷりになのです。
私はお題という制限に囚われて、なかなか想像を広げられずに
「一首中で因果を説明してるだけの歌」になってしまいがちなのですが
(◯◯した、それは△△だったから。というような)、
そのような歌は、読み手の心の中で情景が立体化していかないんですよね。
単に下句が上句(あるいはその逆)の説明になっていないか、気をつけなければ。

わかるようにわかるように、噛み砕いて詠まなくても大丈夫!
読み手を信頼して飛ぶのだ!!



」の秀歌たち。

西巻真
 生花店に花のむくろは並びゐてあなたにわたす無残をひとつ

紫苑
 ぬばたまの我が黒髪に結ぼるる残り香のなどかなしからずや

みずき
 残像と生るる樹影のそよ吹きて亡父のこゑを探す夏の夜

たえなかすず
 残照 アールグレイに一日の花、一日の波が浮かんで

船坂圭之介
 一瞬の夢に残れる かの細き指まざまざと弥勒菩薩の

芳立
〈東京湾岸〉
 ながめつつ時世ときよあかせば有明の埠頭に残る月のいにしへ


(敬称略)

014:残(理阿弥)








逝きし人の残せる皿にかすていら乗せたりひとつ小部屋は昏れぬ

鑑賞013「故」(TB 147まで)

歌人吉川宏志氏の著作『風景と実感』(2008)の中のことば。

歌の中から生の手触りが失われるときには、歌の奥行きもまた消えてしまう。

歌の奥行きってなんだろう。
頭の中の、狭い世界だけに耽溺していないか、
常に問いながら歌作にはげまねば。

 *  *  *

お題は「」。

生の手触り、生の手触り。
求めて今回は選歌のみ、二首。


」の秀歌たち。

猫丘ひこ乃
 故郷へと向かう列車で恵方巻南南東がずれてゆきます

揚巻
 故障中の蛇口に梵字したたりて眠りのひだをみな吸い上げる

(敬称略)

013:故(理阿弥)








故カオルの画集の隅に鉛筆で「ウレシイ」 閉じて林檎を磨く

鑑賞012「堅」(TB 156まで)

このところの自分の選は、ちょっと保守的なのかなと思いつつも、
いいと思ったものはやはり良いので、素直にやっていこうと思う。







 春雨のしづく置きたる堅香かたかは恋はかなきを知りてうつむく
   紫苑

堅香子=カタクリは日本原産の早春の花。
花言葉は初恋、嫉妬、寂しさに耐える、だそう。
花弁が下を向いた控えめな姿のカタクリが、寂しく濡れている情景です。
自然詠が少なくなっている昨今(私自身、ほとんど詠まないです)、
こういう一首は都市生活者に潤いを与えてくれるなぁ、と感じ入るわけです。
説明不要の、シンプルに美しい一首。



」の秀歌たち。

猫丘ひこ乃
 堅炭と語りはじめるようにしてほのかに暖をとる京の朝

西中眞二郎
 義理堅き人から賀状来ぬままに夏の終わりは訃報届きぬ

行方祐美
 堅梨の切り口つつとひかりゐて雪のなき朝しろく明るし

ちょろ玉
 中堅センターに打球が抜けてスタンドが沸いた理由を君に教える

五十嵐きよみ
 式典の堅苦しさをまぎらわす来賓たちを野菜に見立てて

内田かおり
 陽を受けて仄かに温き土くれのひとつところにある堅さあり

(敬称略)
カミソリーフ
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理阿弥(りあみ)



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 歌歴:08年より。
 口語でも文語でも。

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