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鑑賞092「念」

良く分からない、でも良く分かる。
すぐ分からない、でもいい歌だな、ということがあります。
そういう時はたいてい、自分に読み解く言葉が無いのを無念に思いながら、
取り上げるのを泣く泣くやめる、ってことになるんですが、
今回は頑張ってやってみましょう。








記念日を一つ減らして帰る夜のわたし 暦の上では自由
  星川郁乃

記念日を減らす、というのはどういうことか。
たとえば誰かと別れてしまえば、記念日が記念日でなくなる。
あるいは、記念日を過ぎてしまえば、残りの人生で
迎えるであろう記念日の総数は減りますね。
"一つ"減らして、とあるので後者だとみるのが妥当でしょうか。

では「暦の上では」をどう読むか。
この言葉、「暦の上では◯◯ですが、気温の方は~」という言い回しでお馴染み。
「暦で言ってることと、私たちの感覚は随分ちがいますね」ってことだから、
下句は、カレンダーに刻まれた記念日では<わたし>は自由であるはずなのに、
そんな風には感じられない、ということか。

記念日を祝い、時計が零時を回って帰る道。
嬉しいだろうはずが、自分は不自由だ、と感じている。
さて、これ、何の記念日でしょう。誕生日か。結婚記念日か。
もしかしたら離婚した日を、自分の記念日としているのかもしれない。
<わたし>が確かにフリーになったはずの、その日。でも。

さあ、みなさんはどのように読みますか?



」の秀歌たち。


tafots
 ブラジャーの既成概念くつがえす脱がされ方を思い出す夜

水風抱月
 初蝉に滾る命脈念念と燃え上がりゆく 夏遠からじ

コバライチ*キコ
 念仏を唱うる僧の広き背に西日の影が伸びて這いおり

酒井景二朗
 今一度無念の人の窗に置く矢車菊に虻よたかるな

夏樹かのこ
 残念賞のティッシュをもらう空白の手帳も別に埋めなくていい

富田林薫
 どこまでも記憶のようなこの森にあなたであった植える記念樹

北爪沙苗
 押し花の念の浄化を願いつつ読みさしの本を閉じる音聞く

揚巻
 夜汽車いざ継ぎ目を順に越えながら念じて とどけ とどけ とどけ


(敬称略)

鑑賞091「債」

」の秀歌たち。


みずき
 債券を売らむと決めし携帯の感触冷ゆる春に凭れぬ

酒井景二朗
 ささやかな負債のあれば毎日は悲し翼々選ぶ安酒

鳥羽省三
 債鬼待つ店子の如く静もれり桜田門より見上ぐる皇居

牛隆佑
 ローソンが故郷になる/肉体の全てが負債でも抱きしめる

富田林薫
 ノルウェーの森の静かに雪ふるように債務時計の刻まれてゆく

揚巻
 刺しあとをのこしていった蜂はどこ夏の負債もいつかきえると

清次郎
 債務整理ブームは終わり草原に司法書士たちが根差す早暁

鮎美
 晩秋の銀杏並木の燃ゆる黄よ書債ある身はゆつくり歩む


(敬称略)
カミソリーフ
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