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猫丘ひこ乃さんのお歌から

 〇〇二:幸
数珠念珠下げた牛歩の老女おり祈りつつゆく幸多かれと

 〇一二:堅
堅炭と語りはじめるようにしてほのかに暖をとる京の朝

 〇一三:故
故郷へと向かう列車で恵方巻南南東がずれてゆきます

 〇二七:水
吾の胸に水琴窟を見つければ君の調べが響く暗がり

 〇四五:幼稚
幼稚さも同じ器に入れておく新しい芽が顔を出すまで

 〇五六:摘
摘みとった山椒の葉を手のひらにふたつたたいて香りふくらむ

 〇九六:取
刈り取ったドクダミの香は満ち満ちてラジオ体操第二はじまる
猫丘ひこ乃さんが七首選してくださいまして、拙作にひとつずつ丁寧な評をいただきました。
ありがとうございます。(*^_^*)
猫丘さんのお歌は私のブログでも何度か採らせていただいており、
上記の002~027はそのうちの四首です。


 045:幼稚
幼稚という抽象名詞が、物理的に扱えるもののように詠われています。
そうすることで、ふだん否定的に扱われていることばが、
少し手触りのある、身近なものに感じられるよう。
幼稚さも自分の一部であると引き受ける、ということなのでしょう。
良い部分も悪い部分も、みんな未来への栄養となれ、そんな前向きな一首。
難しいことば、特別な単語を使わなくても良いレトリックが
良い歌をつくるというお手本と思います。


 056:摘
私が短歌を読んでいて嬉しく思うのは、
自分にとって新しい発見があるってことなんですよね。
たとえば昔の人達はしょっちゅう旅行も出来なかったし、
テレビで知識を得ることもなかったから、短歌が旅行記や歳時記や、
あるいは写真のような役目までも果たしていたわけですね。
「へー、富士ってそんないい山なのか、いつか行ってみたいなぁ」なんてね。
で、現代でもそういう短歌の性質っていうのは生きていると思うわけです。

摘んだ山椒の葉を叩いて香りを楽しむって、私は知らなかったんだけど、
ただ未知の体験が書かれてるだけでは「ふーん」としか思わなくて、
ポンポンって二回叩いたんだな(ふたつたたいて)、とか、
匂いがじんわり漂ったんだな(香りふくらむ)、などの描写があってこそ、
「おぉ」という発見につながると思うんですよね。
その単語の選び方ひとつひとつが、一首を短歌たらしめるのです。


 096:取
ある言葉とある言葉が、受取り手の頭にイメージを膨らませるために持つ、
適切な距離、効果的な距離というのがあると思います。
ドクダミの匂いとラジオ体操、ぴったりの距離だと思いませんか。
夏休み、早朝の眠さ、めんどくささ(笑)、たまるハンコ・・・
いまラジオ体操ってどのくらい行われてるのか、ちょっと分からないですけど、
相当数の日本人がいろいろな思い出とイメージを持っているはず。
でも、上句を「なつやすみ眠きまなこをこすりつつ」ってやっちゃうと、
これは近すぎるんで「あ~あったあった」で終わっちゃうんですよね。
ドクダミの匂いってのは、全てのラジオ体操に付随しているわけじゃない。
そういう個人的体験だからこそ普遍性を持ちうる歌になる。
答えを言っちゃうんじゃなくて、そのイメージをそれぞれの読者から
引き出してくれる。それが私の考える良い歌。


猫丘さんの歌は、描写が丁寧で言葉ひとつひとつをなおざりにせず、
細やかに詠まれているという印象を受けました。
自分の作歌を振り返って反省することしきり。
お人柄と感性のなせるわざなのだと思います。
ぜひみなさんも百首とおして読んでみてくださいね。

猫丘さん、たくさんの素晴らしいお歌をありがとうございました。

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ありがとうございます

理阿弥さん、こんばんは☆
拙作から7首選んでいただきまして有難うございました(*´∀`*)
感想も添えていただいて、大変感激しております!

045:幼稚の歌ですが、詠んだときの想いを上手に汲み取っていただきまして嬉しいです。
まさに、その通りなんです。幼稚さは、成長途中のものとして切り捨てることなく温めておき
たい気持ちからそんな歌ができました。

056:摘に出てきた山椒は、実家の庭にありまして、お料理に添えるときに、パンパンっと
手のひらでたたくと良い香りがたつのです。自分の何気ない歌が誰かにとっては新しい
発見となるなんて。。思いがけず嬉しい気持ちになりました。

096:取の歌はほかの方にも好評で、自分でも気に入っています。香りに関する歌を詠み
がちなんですが、情景+香りが感じられるような歌をこれからも作れたらいいなぁ、と思って
おります。

理阿弥さん、お忙しいところ、拙作に触れていただきまして有難うございました(´∀`*)

Re: ありがとうございます

山椒の葉、叩いて味噌汁に浮かべたりするみたいですね。
香りの良い物、実家には紫蘇くらいしかなかったです(笑)

猫丘さんのお歌、最終七首に絞るのにとても苦心しました。
丁寧に詠まれていますよね。
たくさん素晴らしいお歌を読ませていただいて、本当にありがとうございました。m(_ _)m

来年もぜひよろしくお願いいたしますね。 (*^_^*)
カミソリーフ
題詠blogへの投稿、選歌、鑑賞。
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